【検証】文化庁が旧統一教会の名称変更理由を黒塗りにした理由

統一教会名称変更決裁書の黒塗り理由の検証
目次

文化庁、旧統一教会の名称変更決裁書の公開時に規則変更理由を黒塗りにする

旧統一教会の名称変更問題

安倍元首相の銃撃事件を機に社会問題化している旧統一教会の問題について、1つの大きな注目点が2015年の旧統一教会の名称変更が約20年越しに認証を受けた点である。この点について当時の文科省大臣であった下村博文氏が名称変更に関与したとの疑惑が上がっている。

名称変更理由の黒塗り

7月27日に共産党の宮本徹議員に対し、文化庁から統一教会の名称変更の決裁文書が提出された。決裁文書の内容として「規則変更理由」が黒塗りされていることを宮本議員は問題視している。

これをきっかけに黒塗りを問題視する声がSNSや各種ニュースサイトで上がっている。

名称変更理由黒塗り問題の検証

文化庁の説明

規則変更理由の黒塗りに対し、文化庁は宮本議員に「情報公開法5条二」を理由として説明している。

第五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。

 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

e-gov法令検索

宗教法人への開示請求に対する過去の文化庁の判断

文部科学省には大臣の諮問機関として宗教法人審議会が設置されている。審議会は宗教法人法の第八章によってその権限に属せられた事項について処理している。その議事録を検証するが、会議で使用された資料については公開されていないようである。

過去に審議会で宗教法人関係の資料の開示についての発言を検索してきたので、一部を以下に紹介する。

第155回(2008年5月12日)宗教法人審議会議事録

宗務課長の発言

宗教法人関係の資料につきましてはそれを開示することによりまして宗教法人あるいはその関係者の信教の自由が害される恐れがあることから,公になっている事項を除きましては原則として不開示とするという取扱いにいたしております

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/shukyohojin/gijiroku155.html

第171回(平成29年8月30日)宗教法人審議会議事録

宗務課長の発言

情報公開制度ができて以来,いろいろ宗教法人関係につきましても情報公開の審査請求等が上がってくるという事例がたくさんあったわけですが,現在,公になっているような情報については開示すると。それ以外の事項は不開示とするというような方針が大体認められている状況でございます。(中略)文化庁の方では,公になっているもの以外は不開示とするということでやっておりまして,それに対して異議申立てが出たところでございまして,内閣府から3月に出た答申でも諮問庁が主張した公にされていない特定の個人の情報とか法人に関する情報は不開示とすると。その方針は維持することでいいですよということになりました

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/shukyohojin/gijiroku171.html

他にも言及箇所がありましたが、上記2箇所からでも情報公開制度ができて以来、文化庁としては公になっている情報以外は不開示にするという方針であったということが読み取れます。

判例

宗教法人の情報開示請求に関する判例として「行政文書不開示決定処分取消請求事件」がある。これは宗教法人法の書類提出制度によって所轄庁に提出された書類への情報公開請求訴訟における初めての事例である。

なお、この判例は宗務時報NO.125記載されている。(P.74)

提出義務のある一切の書類の情報公開請求を文化庁が「情報公開法第八条」を根拠に「存否応答拒否」したことから行われていた。

第八条 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

e-gov法令検索

ただこの裁判では「存否応答拒否」の取り消しが訴えられ、不開示自体は争点となっていない。判決としては「存否応答拒否」の取り消しが認められているが、文書の情報公開については不開示のままとなっている。

まとめ:規則変更理由の黒塗りは前例/判例通りの対応

以上検証を行った結果、下記の事実が認定される。

  • 統一教会に関わらず宗教法人の情報開示は公開されているもの以外許可されていない
  • 今回の文化庁の対応は前例及び判例に則ったものであると言える

ここから、今回の規則変更理由の黒塗りについては自民党や下村博文議員が関与していないと推察できる

課題は残る

今回の論点はあくまでも「規則変更理由の黒塗り開示」についてであり、これによって名称変更自体への関与の疑いが否定されるわけでない。また、現在の情報公開制度で問題ないのかという論点は残る。

以上、統一教会の名称変更理由黒塗り問題について検証を行いました。よければTwitter等での拡散やコメントをお願いします。

統一教会名称変更決裁書の黒塗り理由の検証

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