8月15日に公安調査庁の報告書に「旧統一教会は『特異集団』」であり、その記述が「安倍政権下で項目消える」と報じられているが、これはミスリードである。
目次
検証対象
8月15日に辻元清美議員の質問主意書への答弁書が閣議決定された。閣議決定では「内外情勢の回顧と展望」の2005年、06年「特異集団」に記載された集団は統一教会と関連団体であるとしている。
これについて朝日新聞は「第1次安倍政権下の07年分では特異集団の項目がなくなった」と記事に記載している。
朝日新聞デジタル


「特異集団」は旧統一教会 公安庁報告書、安倍政権下で項目消える:朝日新聞デジタル
政府は15日、公安調査庁が国内外の治安情勢をまとめた報告書について、2005年と06年の発行分で「特異集団」と記載したのは旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)だとす…
検証
2004年以前の「内外情勢の回顧と展望」の記載
2004年以前の「内外情勢の回顧と展望」の記載に統一教会の記載があるか検証する。
2004年
記載されている集団は以下の通りである
- 「タマちゃんのことを想う会」(パナウェーブ研究所)
- ラエリアン・ムーブメント
- 顕正会


国立国会図書館
2003年
項目自体記載なし
国立国会図書館
2002年
記載されている集団は以下の通りである
- カルト全般
- ラエリアン・ムーブメント
- 「公務員勧誘のための施設の新設」→不明
- 「地方選挙に関係者を立候補」→不明

国立国会図書館
2001年
記載されている集団は以下の通りである
- 加江田塾
- ライフスペース
- 法の華三法行

国立国会図書館
以上より、「2001年から04年までに統一教会と推定される団体は記載されていない」「2003年では『特異集団』の項目自体記載されていない」ということがわかる。
平成12年以前の「内外情勢の回顧と展望」は資料自体を確認できておりません。申し訳ありません。
「内外情勢の回顧と展望」への記載がなくとも公安の調査対象
統一教会問題に詳しい有田芳生前参議院議員が2012年に統一教会が公安の調査対象であると明言している。
「教祖が竹島に上陸した」のは2011年11月のことであり、「内外情勢の回顧と展望」へ記載がなくなった後も公安の調査対象であることがわかる。
ファクトチェックの判定
判定
ミスリード
判定理由
- 2004年以前の記述の内容に明確に統一教会とわかる記載がないこと
- 2003年にも「特異集団」の項目が記載されていないこと
- 「内外情勢の回顧と展望」に記載がなくても調査対象団体であること
以上の重大な事実が欠け落ちており、誤った印象を与える可能性が大きいと判断する。
この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成しております。
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