旧統一教会の名称変更問題を巡って、申請から認証まで2ヶ月だったことを紀藤弁護士が問題視し「通常は3年かかる」と発言しましたが、これは誤りです。
検証対象
検証対象は下記ツイート及び7月28日「ミヤネ屋」での紀藤弁護士の発言。いずれも申請から認証まで通常3年かかるとの見解を示している。
7/28ミヤネ屋 紀藤弁護士
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) July 29, 2022
>(宗教法人の名称変更について)過去のケースだとだいたい3年くらい様子をみるという制度設計になってますので…認証実務手続きから見ると私からすると異例、むしろ異常な手続きだと思います pic.twitter.com/lafVtavwX2
8/9変更:動画を上げていたツイートが削除されていたため同一の場面を上げた別のツイートに差し替えを行いました
追記(2022/08/02)
「紀藤弁護士は『申請から』とは言っていないのでは」とのご意見がありました。しかし、紀藤氏はその前のツイートで「2015年6月2日に変更申請されたものが8月26日に認証されるという、スピード認証であった」と発言しており認証申請から起算していることは明白です。
検証
法律上、認証申請受理から3ヶ月以内に処理しなければならない
宗教法人の規則の認証について定めた宗教法人法第14条4項に申請を受理した日から3ヶ月以内に認証に関する決定を行わなければならないと記載されている。
4 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨の決定をしたときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。
これは設立や規則の変更などの申請内容に関わらず、3ヶ月以内と規程されているものである。
実務上の扱い
文化庁による扱いが明記された資料は見つからなかったが、同じ条文を根拠とする各都道府県の資料には標準処理期間が記載されているものがある。
青森県県民生活文化課
標準処理期間20日
滋賀県総務部総務課
標準処理期間 40日
宗教法人設立の条件に3年間程度の実績は必要
宗教法人法に明記されてはいないものの、宗教法人の設立には申請前に3年程度の実績が必要と文化庁の資料に記載されている。

今回の紀藤弁護士の発言はそれと混同している可能性がある。
ファクトチェックの判定
判定
誤り
判定理由
主張の根拠となる認証過程の情報が誤っている。ただし、宗教団体設立に3年近くの実績が必要であることと混同していたと考えられ、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚とは言えない。
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コメント
コメント一覧 (3件)
紀藤弁護士は「申請から」とは書いてないんじゃね?
あと県の認証と国の認証は同じですか?
死刑執行のように努力目標の可能性は?
ご質問ありがとうございます。
①この件について記事に追記しました。
②県と国との認証は同じ法的根拠に基づいています。
③訓示規定は違反してもその行為の対外的効力に影響がないとされるものに限られます。今回の場合は申請者への不利益になるので訓示規定と解すのは難しいかと思われます。
>7月28日「ミヤネ屋」での紀藤弁護士の発言。
及び、そのリンクURLについて、
リンク先のツイートが削除されており、確認不能になっています。
また、粗く探してみましたが、28日の動画は見つからず。
(著作物ですので削除されるのが妥当ではありますが)